第11回大阪大会
revised 5/14/2003
大会テーマ:「ひびき合う心と体」
癒しは、傷ついた心や病んだ体を本来の生命の姿に戻すことを目的にしています。また心と体はひとつにつながっていると言われながらも、互いに足を引っ張り合うことで内的矛盾を起こし、そのことが人間関係を悪くしたり、表現を歪めたりしています。
ダンスやムーブメントがセラピーの役割を担うとすれば、私たちにできることは何でしょうか。体を通して心をほぐし、やがては体が心を支え、心が体を支え
る生命の在り方を、共に探求していきたいと願っています。その意味で今回のテーマは『ひびきあう心と体』にさせていただきました。
大会会長 増田 明
期日:
9月28日(土) 10am〜6pm 総会、発表、ワークショップ
9月29日(日) 9am〜3pm シンポジウム、発表、ワークショップ
会場:
大阪保健福祉専門学校
大会プログラム
大会抄録:
( 1 ) 『ダンスセラピーにおける治療技法の検討』 平井タカネ・崎山ゆかり
ダンスセラピーが医療の枠組の中で治療的に用いられる時、セラピストの実際の技法とはいかなるものか。楽しい、心地良い、面白い…だけではない、一歩相手にふみこむような場合、セラピストはそこで何を考え、セッションを行うのであろう。
本発表では、医療の中での取り組みを、それぞれの発表者の経験から述べ、“治療技法”としてダンスセラピーがあるべき姿をフロアの人々と共に検討していく。
( 2 ) 芙二三枝子のダンス・セラピー,入門編『感覚をめざめさせるエクササイズ』 鹿島由起
日常の生活からダンスの世界に飛びこむまえには、まず体の疲れや心の緊張を取り除くことが大切です。
最初に、生命を維持するための根本である呼吸が深くおこなえる「手当て」をして心身をリラックスさせます。その後、背中合わせのエクササイズに入っていきます。
そして,自然に自分らしい表現が生まれ出る心と体が導かれ、リフレッシュするコースです。
・ 1人で行う手当て
・ 2人で行う手当て
・ ボディーと内蔵をめざめさせる
・ 背中合わせから二重螺旋へ
( 3 )ボディートーク入門編 『暖かい息は元気の源』 宮尾厚志
ボディートークでは息の在り方はそのままその人の生き方を表していると考えます。人生に夢や希望を持った人の息は「フワァ」と暖かく降りていますし弾んでいます。そういう『暖かい息』は生命を膨らませます。
反対に心に悩みのある人は息が苦しくなって自ずと体が固くなり、行動がぎこちなくなっています。つまり『冷たい息』で生命を縮めるのです。
・ボディートークの原理 … 体の本当の柔らかさとは
・心と体の結び付き … 心は体にどのように表れるか
・心身一如の体ほぐし … ふれあいはキータッチから
・暖かい息と冷たい息 … 心の働きは即、息に表れる
( 4 )『Feeling in Group』 神宮京子
グループDMTにおいて、個々のクライアントがそれぞれ感じていることが、いかにしてグループ・ダイナミックを築き上げ、そしてまた個々のクライアント
に帰っていくかは大切な治療過程である。この過程において何が起こるのか、治療者としてどのような介入が適切と考えられるか、feeling
の変容の過程で、何が想起され、何が邪魔をし、そして何が難しい feeling でさえも working through
していく支えになっていくのであろうか。
そのようなことをたどっていく作業をしてみようと思う。
( 5 )『心身一如の体ほぐし』 浅田 淳
体ほぐしとは、体のしこりやゆがみをほぐすことで、心の悩みを解放する方法。中心にあるのは息がほぐれること。心の悩みは具体的に体のしこりやゆがみとなってあらわれる。
§実習§ ・心をほぐすキータッチ
・もちつもたれつの原則
・背中ほぐし
・息をほぐす
・足腰をほぐす
・頭をほぐす
・全身をほぐす
( 6 )『少しずつ自由になるために ダンス・セラピーの試み』(岩下−湖南メソッド)※'89年より継続実施 岩下 徹
前半は簡単なからだほぐしと、寝る、寝返りを打ち、座る←→寝る、立ち上がる、歩くと言った日常作な動きとを組み合わせて、それらをゆっくりと丁寧に行う。そのことで普段は気づき難い自らのからだの感覚に気づくようにし、徐々に周囲の空間や人へもその感覚を広げて行く。
休憩を挟んで後半は、1対1でマッサージし合った後、ペアから数人のグループへと発展し、少しずつ他者との交流が出来るようにしている。個と個、更には
個と集団の関係を意識しながら動き、自己の確立と周囲との協調を目指す。尚、この集団セッションの実施時間と頻度は、現在月1回で約1時間半である。対象
人数は全員で10〜45名(スタッフ、見学者含む)。BGM使用。
( 7 ) 芙二三枝子のダンス・セラピー,入門編『感覚をめざめさせるエクササイズ』 鹿島有子
内容は(2)に同じ
( 8 )『ひびきのかたち』−声と私と空間と− 永井順子
ボディートークの”息と声の関係”をもとに、声のひびきが身体に共鳴していることを”こえあそび”としながら味わう。
音源として声が伝わるまわり(空間)へ親しみ、偶然に同席している人たちと空間を通したひびきをともにし、このひとときを、うれしく、たのしく、しあわせな心とからだで、ラクに過ごします。
( 9 )『あなたにとってのセンターとは』 田中康子
人には癖ってありますよね。何かあったらそこで立ち止まるもよし、神経症の方にもお勧めのCenterに戻るということを体験してみませんか?
Breathe and feel the center, this would you core ここからの Start もありますよね。
( 1 0 )『芙二三枝子のダンス・セラピー《中級編》』 芙二三枝子
・腹時計,腹式呼吸・丹田、からだの部位の解放と自覚。
・気の流れを内観してイメージし、点・線・面から渦、波、力の濃淡方向、時間等、 動きの様相を科学する。
・気を強めて皮膚感覚を目にして、他を感じる。
・お手玉の重さによる心身統一を味合い、落ち着きを保ち自己の根底を認識しつつ、自然な動きが次々と生まれる体験をする。
・その様相の中に、真・善・美を感じとる能力を育て、表現・観賞・鑑賞のできる、大らかな心境を智覚する。この力は、マイナーな状態の人に接した時の、適確な指示や援助や介助をさとる実力をつける。
( 1 1 )『ターミナルケアにおけるダンス・ムーブメントセラピー』 大沼幸子
ターミナルの中でも、がんの患者さんを対象に行った症例を紹介し、皆さんと一緒に検討したいと思います。
がんの患者さんは年令にもよりますが、殆どの場合がんに負けたくない、どうにかして克服したいという気持を持っています。多くの場合、現代医療の恩恵を受けるのですが、治療の限界が必ず訪れます。
それでも最後まで生きる望みを持って過ごしたいと願います。そんな時、生き物全てにそなわっている自然治癒力に働きかけるのがケアの本質です。
そのケアの方法の中に、タッチ、リラクゼーション、イメージ療法そして工夫次第でダンス・ムーヴメントも用いることが可能です。当日は、イメージ療法、ミンデルのドリームワークを紹介し、実際に動いてみたいと思います。
( 1 2 )ボディートーク入門編 『暖かい息は元気の源』 長岡たか代
内容は(3)に同じ
( 1 3 )『デイケアにおけるダンスセラピーの実践と可能性について』
──大阪府下のデイケアのとりくみから── 川岸恵子
デイケアのダンス・セラピーでは活動の前後に自己評価を行っているので、それらについて紹介したいと思っています。
またスタッフの評価からもデイケアにおけるダンスセラピーの有用性を検討しましたので報告し、参加者の皆さんの御指導をいただきたいです。
実践は、日々のセッションを体験していただきながら、デイケアのダンスセラピーを感じていただきたいと考えています。
( 1 4 )『息を読む ─ ボディー・メッセージの体験』 増田 明
私たちは息をすることで生きています。そして息の仕方は人それぞれによって個性的です。個性的な息はその人の体の奥深くに、気づかないぐらいの微妙な、その人特有のうごめきを生みます。そのうごめきを私は《内衝動》と呼んでいます。
そして《内衝動》がイメージを作り、感情を起こし、行動へと駆りたてるのです。内衝動は無意識の中で外へ表出されるのですが、それを意識的にキャッチし、声と動きをひとつにして思い切って外へ出しますと、《ボディー・メッセージ》になります。
今回のワークショップでは、
・内衝動に気付く
・内衝動を一気に表出する
・表出された動きや声の意味を読み取る
の三点を実習してみようと思います。
内衝動が表出される時間はたいてい10秒程度です。頭は何も考えないで「ポカーン」とし、体は自由自在に動けるように「フワーン」と柔らかく、心は勇気
をもって「ソレッ」と気合をかけます。初めての体験ではBody
Messageを表出するレベルまでは難しいかもしれませんが、この世界に思い切って飛び込んでみて下さい。
( 1 5 ) 『「ワークショップリーダー」になるために』 照屋 洋
近年、ワークショップばやりである。20年程前は「ワークショップって何?」と、よく聞かれていただけに、隔世の感がある。それだけ関心が高まってきたと考えれば良いことだと思うが、反面、質の低いワークショップ(リーダー?)に出会うことも少なくない。
つい先日も、いくつかのマニュアルだけを持って、機械的に、しかも、ストップウォッチを持って(!)、分秒きざみで行っているワークショップがあって、あきれてしまった。参加者の状態を見て、臨機応変に、ができない。持っている引き出しも少ない。
ワークショップは、自分が名乗ってしまえば誰でもできるだけに、本当にさまざまである。おそらくリーダーには、豊かな心と考え方や、しなやかな感受性
や、幅広い知識と教養や、学ぶ姿勢と謙虚さが必要なのだと思う。大変なことだが、昔習った演出家の先生が「ふだんの修養が大切だ」と言われていたのを思い
出す。
今回は、例年のように多人数で一斉に動く形ではなく、少ない人数で1つ1つのレッスンにじっくり取り組みながら、「ワークショップリーダーになるとはどういうことか」考えていきたいと思う。
( 1 6 )『イメージの旅体験 パート I 』 荒川香代子
動きによるイメージ活動は、体験者に活気と積極的な人間関係を学ぶ機会が様々にあります。 主な活動内容として、
・呼吸のリズムを使って
・アニマル・ムーブメント
・音声化と視覚化による「内なる声」との対話(即興画)
・シェアリング
( 1 7 )『自らを見つめるインプロヴィゼーション』 吉田累幾子
精神科での4年間のダンス・ムーブメントセラピーを通じ、「自由」と「自発性」をもつインプロヴィゼーション(即興的な動き)をいかに充実した活動にするかが、大きな実践的課題となった。
特に、感情を抑制する傾向が強い精神科の患者さんの場合、「自由で自発的な動き」を引き出すための方法論の一つとして、昨年の東京大会で「インプロヴィ
ゼーションにおける課題の枠組みについて」ワークショップを担当した。「動きのヒントとなる枠組みは必要である」との意見が多数であったが、参加者が比較
的よく動けたこともあり、「展開が早すぎる」との指摘があった。
そこで今回は、「自由で自発的な動き」を引き出した上で、さらにその動きを見つめ直し、自らに問いかける作業を提案したいと考える。
( 1 8 )『舞踏ダンスメソドにおける「からだ遊び」と「対峙」』 葛西俊治
「からだ遊び」「リラクセィション」「対峙」という三つの次元からなる「舞踏ダンスメソド」のうち、主に「からだ遊び」と「対峙」の部分を体験してみます。
・「からだ遊び」は、一人ないしは何人かで関わりながら、動くことやおどることを楽しみなが ら遊んでみることを目的としています。
(主に精神科ディケアで行っている内容を用います)
・「対峙」については、「例えば、こんな感じで…」というさわりの部分を一緒に体験していき たいと思います。
二つの拮抗する思いや動きは、「固化」あるいは「振動・痙攣 」として身体に実体化します。
そうした真正な対峙のためには周到な心身の準備が必要なので、ここではあくまでも「対峙」のイントロ部分を体験していきます。(「舞踏ダンスメソド」による実践から紹介します)
( 1 9 )『ダンスこころ学・からだ学“超”入門ワークショップ』 掘切敍子
「素足で踊る舞踊」は、まず胎内で始まっていました。蹴ったり、伸びをしたり…。私たちは、最初に、誰に教えられるでもなく、身体表現をもっていたのです。しかも、即興です。これがからだの自然です。でも、おとなになってしまうと、なかなか踊る一歩が出ませんね。
そこで、からだはどのように動くのかを、今回は次の二点で考えてみましょう。
1. 仙骨と挫骨ってどこにあるの?
2. 三つの姿勢って何?
さて、では、からだにこころをのせて、好きなように踊ってみましょう!!
( 2 0 )『ボディートークで楽しい授業を』(広義のダンス・セラピーとして) 原田純子
1,「これまで」の体育と「これから」の体育
本年度より施行の新学習指導要領では「豊かな人間性とたくましい体をはぐくむための教育改善」が示され、保健体育の分野にも「体への気づき・体の調整・
仲間との交流」を柱とした「体ほぐしの運動」が新しく登場しました。「体ほぐしの運動とはどのような運動であるべきか」は、今現場で最もホットな問題で
す。「これまで」の体育で行われてきた《ラジオ体操》《ストレッチ体操》《エアロビクス》などの運動と『ボディートーク』の違いを実践にて体験します。
2,即興表現に音楽は必要か?
感じたままを動きにするとき、自分の気持ちを身体で表現するとき、音楽は絶対に必要でしょうか? なぜ必要なのでしょうか?
音楽が無ければ、動きはどのようになるのでしょうか?
ボディートークの自由表現の面白さを体験してください。
3,しなやかな動きはしなやかな心から
ボールを使って、楽しく仲間と交流しながら動的に体を動かします。仲間同士の人間関係の妙味も心のしなやかさも、全部動きの中にあらわれるでしょう。流れるようなボールの動きは、しなやかな心身から生まれます。
( 2 1 )『身体を通しての自己探求』 ─ メンタルヘルスケアの技法としてのダンス・ムーブメント ─ 吉村節子
コミュニケーションとリハビリテーションの働きとしてのダンス・ムーブメントに焦点をあて、それらが各自の自己覚知に変化をもたらしたかどうかも検証してみたいと考えています。
・ムーブメントから
a. 居心地のよい身体づくりのワーク(身体ほぐし)
b. リラクゼーション
C. コンタクト〜ふれあい etc.
・『ジャズダンス』の動きを通して
様々なダンススタイルを健常者に試した結果、自己効力感と生活の質向上に効果的であった『ジャズダンス』を皆さんと一緒に楽しみたいと思います。
( 2 2 )報告と討論会 『池見先生のダンス・セラピーへの遺産』
心療内科を日本に創設された故池見酉次郎先生は、私たちの日本ダンス・セラピー協会の顧問として、発足当初から大きな支えとなっていただきました。御高齢にもかかわらず大会の毎に全国に御足労いただき、内容の深い記念講演を何度もしていただきました。
先生のダンス・セラピーへの期待は大きく、先生への私たちの想い出も数多くありますが、この大会のしめくくりとして、先生が私たちへ伝えていただいたエッ
センスを皆様と共に復習してみたいと思います。またどんどん質問も意見も出して下さい。オープンな討論会にしたいと思います。
進行:平井タカネ
思い出話:梅田 忠之、城石明喜子
これまでの講演の骨子:町田章一
池見先生の実践的プログラム:増田 明
討論:参加者全員
( 2 3 )『ボディラーニング法(舞踏メソド)におけるリラクセイションの実際』 〜精神科ディケアでの手法をもちいて〜 竹内実花
こころとからだにおける身体の弛緩と緊張に対するアプローチをボディラーニング法をもとに展開する。
ここではとくにリラクセイションに焦点をあてて実際の体験を中心とする。
( 2 4 )『要介護高齢者とダンスセラピー』 貴船恵子
平成12年4月の介護保険制度スタート時より、東京都品川区の社会福祉法人春光福祉会では、
品川区西大井住宅サービスセンター、特別養護老人ホーム「ロイヤルサニー」の中でダンスセラピーが実践されている。また、地域高齢者に対しては、介護状態を未熟に防ぐために運動指導が行われている。
ここでの実践を元に、一般高齢者と在宅にいる要介護高齢者、施設入所高齢者の心理状態違いからくる相違を明らかにし、その相違に注意しながら一部をワークショップとして経験いただく。
また、日本の介護老人福祉施設における入所高齢者へのダンスセラピー実践例は少ない。が、高齢化が社会問題にもなっている状況下で、ダンスセラピーの実践が「機能維持」「社会性の維持」「高齢者の心理援助」において、入所高齢者に有用である実体も伝えていきたい。
( 2 5 )『タッチ&シェイプで動きの対話』 林信恵
体は動きの宝庫です。動きの道すじにはストロボ写真のような形(シェイプ)が連続してつながっています。それらを拾い集めてみましょう。そして自分のシェイプが仲間にはたらきかけ、仲間のシェイプが私に語りかけると、からだはどんな言葉を発するのでしょう。
眠っているからだを掘りおこし、たくさんの言葉をみつけましょう。
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