第10回大会プログラム

revised 8/4/2001


= 10日 前夜祭 =


ダンスセラピー:新しい視点からの古来の英知の統合
   当協会顧問 シャロン チェクリン

 世界中で、過去も現在も、ユニークなタペストリーであるダンスのない文化はどこにもありません。私たちの動きは、地理や地域社会や家族によって定められ る人生の日常体験から成長を遂げています。時代を超えてダンスが用いられてきたのを理解できると、社会や個人が現代必要としていることに焦点を当て、私た ちはこの英知を利用するようになるのです。心理学のさらなる研究により、特別な問題や課題のある人々を救う目的でダンスを用いることに再度光を当てること になりました。このダンスと心理学の統合により、心とからだと魂の必要性と関係を特に理解するダンスセラピーという専門領域を発展させることになったので す。

Dance Therapy: An Integration of Ancient Knowledge through New Perspectives
Sharon Chaiklin

There is hardly a culture in the world, past and present, that hasn't included dance as part of its tapestry of uniqueness. Our movement grows out of our daily experiences of life as determined by our geography, our communities and our families. Understanding the past use of dance over time, leads us to make use of this knowledge to focus on present day needs of communities and the individuals within them. Further studies in psychology have led to refocusing the use of dance in order to aid those with special problems and concerns. This integration of dance and psychology had evolved into the profession of dance therapy with its special understanding of the needs and relationship of the body-mind-spirit.



= 11日 =


ダンスセラピー「様々な動きのモチーフの体験」−動きの交流を中心に−
          東邦医療短期大学 大沼幸子

 生きていることは動くこと(主体としての体)、動いている体、じっとしている体は何かを物語っている(客体としての体)。
 そんな体への積極的な関わりがダンスセラピーと言えます。これまでの体験からダンスセラピーは、以下のような特徴があるのではないかと考えています。
・ 健康な部分に働きかけ、健康な部分を広げていく
・ 持ちつ持たれつ、癒し癒される関係
・ ダンスセラピーのプロセスは問題解決志向(分析的)ではなく、解決志向(できていることを認める)
・ ケアする側が癒されていないと、いいケアはできない
 理屈、理論も大切ですが、まずは楽しいという感覚を基本に考えています。
 今回は、体と体の対話、動きの交流を中心に、参加される方々の個性を活かすような展開をしたいと思います。
 Key words
「動くカウンセリング(動きの共感)」「体と体の対話」「交流」「自然な触れ合い」「ノン・バーバルコミュニケーション」「喜び・解放・遊び」「創造的活動」「表現」「一回生、2度とない瞬間」「身体の気づき・新たな自己の発見」


ダンスで遊ぼう
           桐が丘養護学校 松原豊

 体を動かす健康法にはいろいろな種類があります。その中でダンスは音楽に乗って楽しく踊ることで楽しみながら,身も心も元気になることができます。ダン スを楽しむためにはややこしいルールを覚えたり高度なテクニックを身に付けたりする必要ありません。ありのままの体が素材となり、自然な動きが表現となり ます。
 今回のワークショップで行なうダンスは難しいステップやポーズはありません。音楽に合わせて歩いたり止まったりしているうちに、いつのまにかダンスを楽 しんでいる自分に気がつきます。ダンスを通していろいろな人と一緒に踊りを楽しむうちに心が晴れやかになり、体が軽くなっていきます。そんな体験をしてみ ませんか。


自然な関わりを体験するダンスセラピー
          神奈川第2病院、東京国際音
          楽療法専門学院 永井順子

 "Danse"の語源は"Tention"(緊張)にあると聞いた事があります。体と心と息を緊張させてあの美しい非日常的な表現をする西洋に対し、日 本では“舞う”ということばは“振舞う”という意味でもあり、リラックスした日常性の延長動作にもとづく表現形態があるようです。このワークショップでは 参加している“私”の気持ちを身体を整えながら自分に無理を課すことなく自然なからだとこころで自分にまた相手に関わる時間を持ちたいと考えております。
自分の内側、外側、スペースに自然に気づきと安らぎをもたらす音楽の使用を試みます。


インプロヴィゼーションにおける課題の枠組みについて
          奈良女子大学大学院 吉田累畿子

 improvise(即興)とは、ラテン語のinprovisus(予知しない、予想しないの意)から派生した言葉で、その場で即座に作ったり、述べたり、演奏したりすることと訳される5)。
 動きにおいては、自由、自発性、偶発性、型にとらわれないこと、衝動性、リハーサルなし、計画なし、といったことが内包され、そのきっかけとなるものは、言葉による指示や音楽のような刺激、他者やグループの行動である、とされる5)。
 ダンスにおけるインプロヴィゼーションは、作品創作のプレリュードや個人のパフォーマンスの感覚を発達させるための手段、身体の自然な動き方を発見する ための手段として用いられるが、その種類が最初の問題として取り上げられている2)。すなわち、構造化されたものが、全くの自由か(structured or completely free)という枠組みの問題であり、多くの人々が子どもの頃以来、創造的な経験から遠ざかっているため、制限のある状況から取り組む方が賢明だと指摘さ れている2)。
 ダンス・ムーブメントセラピーは、動きを心理療法的に用いることによって個人の感情、認知、身体機能、行動の変化をもたらすことを目的としている1)が、その技法や理論的背景は、流派やセラピストによってさまざまな形態をとっている。
 しかし、ADTA(American Dance Therapy Association)設立に関わった代表的なセラピスト達は、それぞれのアプローチ方法の中で、インプロヴィゼーションを一つの手法として有効に用いている。
 私たちの日常生活においては、自由な表現とはあまり縁がないため、「恥ずかしい」「できない」といった先入観が見受けられる。つまり、日本人にとっては 「『型』のある舞踊は、体、心共に露呈してしまうことから保護してくれる一つの『安全枠』になることがある。」3)のである。あるいは、即興的に動く場合 でも、動きに制限をつけた方が動きを見つけやすい4)とも言われる。筆者の精神科でのセッションでも、この点に留意し、ある程度の「枠組み」を加えたイン プロヴィゼーションを実施している。その結果、参加者の7割が好意的に受け止め、気分・感情面および身体面での積極的な効果が期待できた6)。
 今回のWSでは、インプロヴィィゼーションの目標を心身の開放・自由・気づきという「自分とのコミュニケーション」および「共に動く他者とのコミュニケーション」の二つにおき、ためらいを感じずに動ける枠組みを提示・検討したいと考える。
文献
1)American Dance Therapy Association(1999) NEW ADTA CLINICAL BROCHURE.2000 Century Plaza, Suite 108
2)Cheney,G.(1989) BASIC CONCEPTS IN MODERN DANCE: A CREATIVE APPROACH.THIRD EDITON. A DANCE HORIZONS BOOK.pp72-73.
3)平井タカネ・崎山ゆかり(1991)舞踊療法の意味と機能.臨床精神医学20(7):1142-1148.
4)松原豊(1998)表現としてのダンスムーブメント.体育科教育.1998.1:68-71.
5)Schneer,G.(1994)Movement Improvisation in the Words of a Teacher and Her Students. Human kinetics.
6)吉田累畿子(2000)精神科におけるダンス・ムーブメントセラピーについての一考察:プログラムの受容度および今後の課題について.奈良女子大学スポーツ科学研究年報第2巻:82-90.


こころとからだのレッスン
            杉並区立井萩中学校 照屋洋

 少年犯罪が新聞をにぎわすことの多い昨今ですが、そういう記事を見るたびに、今の子供たち、今の日本の社会はどうなっているのだろうと憂鬱な気分になる 人も多いことでしょう。まして「普通の子」といわれる子供たちが突然事件を起こすのを見るにいたっては、不安はつのるばかりです。事件を起こさないまで も、「キレる若者」が増えていることは、きっと誰もが感じていることでしょう。
 いったいそれは何処からくるものなのでしょうか。
 先日、こんな場面を見ました。旅行に行く電車の中でのことです。
 通路を隔てたすぐ横の座席に、母子3人が乗ってきました。小学生らしい男の子と女の子はリュックを背負っていて、これから3人でどこかに旅行に行く様 子。さぞかし楽しく会話がはずむのだろうと思っていましたら、なんと母親、息子、娘の3人が3人とも、座席について5分とたたぬうちにゲームボーイを始め たのです。そしてとうとう目的地までの1時間半、ほとんど言葉を交わさず、窓外の景色を見ることもなく、過ごしていました。
 このことと、今起きているいろいろな問題とがとても無縁とは思えません。
 感情をコントロールできない、自分の考えや気持ちを表現できない、人と上手にコミュニケーションがとれない、そういった現象は豊かな人間関係を結ぶ体験 の少なさが原因の一つだとも言われています。幼年時代や少年時代は、子供たちの心が豊かに育つ時であるのに、テレビゲームのような仮想現実の中でばかり遊 んでいるために深く感じることができなくなっているかもしれません。ゲームによっては暴力的なことに抵抗を感じなくなってしまうものもあるようです。
 教育現場で子供たちと接していると、そうしたいろいろな問題が見えてきます。それらは、普段の授業や行事、さまざまな学級活動だけでは対処しきれないもので、からだのレッスンの必要性を強く感じるところです。
 今回は、現場で見えてきたさまざまな問題、子供たちのからだに起こっていること、また、現在私が学校で行っている「からだのレッスン」(一部の授業や部 活動、PTAのサークルの一つとしての親子を取り込んだ「こころとからだの学級」等)で見えてきたものなどの話を交えながら、レッスンを行っていきたいと 思います。


ボディートーク入門=息は生き方= 
         (A) 鹿島有子 (B) 岩井芳子 他 
        (BC会場2つでそれぞれ行います)

 ボディートークとは、文字通り「体のおしゃべり」のことです。人間同士のコミュニケーションは言葉だけでなく、顔の表情、声の調子、身振りなど、言葉以 外の体全体によるおしゃべりが大きく作用します。さらに感情や本音は言葉よりもむしろボディートークによって伝達されると言えるでしょう。
 また心身一如と言うように、心と体はきわめて密接なつながりがあります。体が硬いと心も萎縮し、声もこわばります。心の中にたまっているしこりを体を通して気づき、ほぐしていこうというのがボディートーク法です。
 この講座では、心と体の具体的な結びつきを解明し、どうやってしこりやゆがみを取り除いていけばいいのかを実習し、しなやかな身のこなし方を体得します。同時に息も自ずと楽になっていきます。
 ボディトーク法のプログラムの中より1)自然体法、2)人間関係法を中心に行います。


からっぽになる
          舞踊家 山田宜子

ただただティッシュを出しましょう。
そして出したティッシュとたわむれ、わかちあいましょう。
このワークショップでは 箱ティッシュをすべて出します。
難しいきまりや正解は特にありません。
ティッシュをすべて出しきって、
ティッシュの箱も、心もからっぽにしましょう。
無心となってティッシュを出し続けた時
何が心をよぎったか。
答えは自分の中にあるでしょう。

参加を希望する方で可能な方は、
ティッシュを2〜3箱ご持参ください。
(こちらでも多少用意致します)


low-impactのエアロビックダンスの気分・主観的睡眠感への影響とストレスホルモンの関連
      北海道大学医療技術短期大学部作業療法学科 渡辺明日香,岩田銀子,森山隆則
      北海道大学大学院教育学研究科 森谷潔

<はじめに> 精神科で行う集団ダンス・ムーブメントセラピーでは,エアロビックダンスを一技法として利用する場合がある.今回は,実際に精神科で患者の 治療に使用したlow-impactのエアロビックダンスビデオを用いた実験を紹介し,このエアロビックダンス1回の実施が健康な男子学生の心身両面(気 分,主観的睡眠感,ストレスホルモン[17-KS-S,17-OHCS])に与えた影響について述べたい.
<方法> 対象:エアロビックダンス初体験の健康な男子学生12名(年齢19〜25歳)
実験:被験者にエアロビックダンスビデオ(前後にストレッチ体操を入れ45分に構成)の模倣をさせ,入室から実験終了(16:10〜18:20)の翌朝ま で以下の気分質問紙に記入させた.STAI(X-1)(状態不安)6回,自覚的疲労尺度(疲労感)6回,MCL.S-1(リラックス感・快感情)8回.ま た,翌朝起床時に早朝尿を採取(ストレスホルモン),OSA質問紙(主観的睡眠感)に記入させた.対照は内田クレペリン検査と安静時ビデオ鑑賞とした.
<結果と考察> 夕刻に実施するlow-impactのエアロビックダンスは,良好な気分変化と睡眠維持感をもたらすと言えた.また,エアロビックダンス 実施翌朝に,リラックス感・快感情が高く状態不安の低い者ほど,早朝尿中のストレスホルモン量(17-KS-S,17-KS-S/17-OHCS)が有意 に高かった(この関連は他の活動では顕著でない).このことは,エアロビックダンスの影響が心理面のみでなく内分泌系・免疫系にもおよび,ダンスの翌朝に 気分が良い者ほど,内分泌系・免疫系も良好に調整された可能性を示唆している.


ボディートーク 「体ほぐし」
            福岡女子短期大学 城石明喜子

 ボディートークのからだほぐしは、相手の息と声によって体の中身を客観的にとらえます。また柔らかで繊細なタッチで心と体の在り方に気づき、共感、共鳴をもってほぐしていきます。
人は本来「自分で元気に生きていこうとする力」を持ち備えています。しかし環境の変化があまりにも急激で過剰な現代社会の中で、心も体も大きなストレスを受け「生きる力」が乏しくなっているのです。
 暖かい息や手のぬくもりによるボディートークの体ほぐしは本来の「生きる力」で活性化する方法に留まらず、他の生命も生かし合っていく生き方も共に身につく、まさに「よりよく生きる知恵」とも言えるでしょう。


ダンスセラピーにおける相互交流としての身体接触
           奈良県健康づくりセンター 崎山ゆかり

 参加者同士の相互交流を重視したセッションにおいて、身体接触の場面はしばしば見受けられる。身体接触を禁忌と見なす精神分析療法とは対照的に、ダンス セラピーにおいては、治療的効果を促進させる一要因として、積極的に活用する場合がある。しかしその一方で、配慮なき身体接触は、参加者にとっては、身体 的に精神的に、侵襲的行為となる。このワークショップでは、この点をふまえ、発表者が意図的な身体接触場面を構造化して創り、参加者はそれを体験する。そ の後、その身体接触がどのように感じられたか、場面設定は適切であったかなど、自由な討論を行う予定である。

無言のワークショップ
            舞踊家 森谷紀久子

 私達は言葉を使って相手に何かを伝えようとしている。
 便利な言葉、しかし、言葉だけが先に走り、体と心が置き忘れられている今、とても不便になってきている。
 自分の体の中に叫びかけ、無言の伝達を通し、子供のような素直な心の目で見る。感じ取る。自然に動いた体と心を、再発見し、見えないダンスを感じましょう。
 様々な対象者が一つになり、体が楽器になり、色々な音を出し、遊ばせ、内面を解放し、自分表現の方向へ、心の旅をする。
 内容 ・空気を感じながら、自然に体を動かす。
    ・表現遊び
    ・心のままに動く。(インプロビゼイション)
    ・ミーティング


社交ダンスが”癒し”であるために
         フリーライター、日本ダンス文化普及友の会 高橋禮子
 
 男女の出会いから始まったとも言われる人類の歴史を思う時、異質の男女がお互いの思いやりや触れ合いによって得られる様々な”癒し”は、人々の社会生活 の原点である。男女のより良い理解は、科学技術の急速な進歩やストレス社会における人間不信、高齢化社会における予防医学、少子化問題等など多くの社会問 題解決の方向性にも拘わる重要テーマであると考え、ダンスセラピーの中でも、特に男女で踊る社交ダンスに注目しての、『社交ダンスセラピー』について考察 してみたい。


= 12日 =


私たちは何を見て、どのように応じるのか?
           当協会顧問 シャロン チェクリン

 この経験的なワークショップでは、他者や自分の動きを観察することに焦点を当てて行います。私たちは、自分自身の動きのスタイルに気づいているでしょう か?どのような動きが好きで、何を避けようとしているのでしょう?あまり使わない場所を調べ始めたり、自分自身のためにその含まれた意味について考えるこ とができますか?他人を観察しながら、彼らの動きを広げる提言ができますか?このことは、他人とグループであるいは個人的に関わるとき、どのように関連す るでしょう?
 多くの質問を歓迎します。そしてできるだけそれにお答えしようと思います。 

What do we see? How do we respond?
               Sharon Chaiklin
This experiential workshop will focus on observing movement of others and our own. Are we aware of our own style of movement, what we prefer and what we seem to avoid? Can we begin to examine those less used places and think of the implications for us? In watching others, can we offer suggestions for expanding their movement? How does this relate to working with others in groups or individually?
Many questions and hopefully some answers.


芙二式「感覚をめざめさせるエクササイズ」入門
             現代舞踊 鹿島由起

 まず最初に、体の疲れや緊張を取り除き、元気を回復させるための手当を行ないます。その後二人組の背中合わせのエクササイズにより、呼吸を深め、からだの感覚をめざめさせていきます。人との触れ合いは、心も体も豊かにしてくれることでしょう。
(内容)・1人で行なう手当
    ・2人で行なう手当
    ・気を交流する
    ・背中合わせから二重螺旋へ


語られようとしていることを知るために
              神宮京子

 ダンス/ムーヴメントセラピーにおいて、患者が語ろうとしていることを知る手がかりはセラピストと患者との関係性のなかで現される身体動作表現である。 その過程において、私は「これは何だろう?」、「これはできれば避けたいな。」などという感覚に襲われることがあり、それは時にはセラピストとしての無力 感という主観的かつ悲劇的な気持ちに至ることもあれば、治療過程における患者の病理との共謀に陥ることにも繋がる。この事を考えるに、できうる最善の事は 自分がどのエリアに対して扉を閉めてしまいがちかを知ろうとすることであり、その先としていかなる表現をもcontainしうる器を自分の中に用意するに はなにが必要かを見つけていくことである。このWSではそんなことを互いに探り合ってみたい。


タオルを使って簡単に出来る脳・身体・心を活性化するマットワーク
      YFC(Y.フィットネスコミュニティー)主宰、中京女子大学客員教授 山岡有美

 畳のある和室や、どんな会場でも、床に寝たまま簡単に出来る呼吸法や、リハビリから応用されたピラティス法を取り入れ、身体のバランスを整える筋力エク ササイズや全身の関節の可動域を広げることで、体が円滑に動くようになる効果があります。日常生活で身軽に動けることで、精神的にも効果的で心身のバラン スを取り戻します。健康を維持するためにも、簡単に出来る方法を覚え、心と体を生き返らせる法と時を体験して下さい。(タオルをご持参ください) 


ダンス・セラピーの治療仮説
         大妻女子大学 町田章一
         福岡女子短期大学 城石明喜子

 ダンス・セラピーはなぜ良いのか、どのような点が、どのように役に立つのかについて、理論的な回答・説明を試みる。
  1 わが国で発表されているダンス・セラピー治
    療仮説の概観
  2 池見酉次郎によるダンス・セラピー治療仮説
    (1) 治療仮説の要点
    (2) 治療仮説に対応するワークの実例
  3 残された諸問題
 前半は発表者である町田と城石による対談の形式をとり、後半は参加者を交えて意見交換をする予定。参加者は池見酉次郎の著作、特に、『肝(右が千ではな く土)・盲一つの脳、究極の心身健康法』潮文社(Tel.03-3267-7181)、1998、1,200円を読み、かつ持参することが望ましい。


ランチ・オーバー・ミーティング
           呼びかけ人:神宮京子&鍛冶美幸

 困ったことを話しましょう。知りたいことを聞きましょう。そしてお互いを知り合いましょう。――お弁当持参でお越しください。


芙二三枝子のダンスセラピー −気の交流から自己解放へ導く展開部−
          当協会会長、芙二三枝子舞踊団団長 芙二三枝子

 気の受け渡し、鏡のエチュード、旅の記憶、引き合う気、弾む気等負荷を与えられることによって、かえって無心になり、からだとこころが一致し、動きたいと思う体になって、自然にダンスが生まれるエクササイズを行って自己を解放する。
 午前の芙二式入門部の手当を受け、腹式呼吸を深く行っていると、展開部に入った時、驚くほどからだが素直にのびやかになっているので、展開部のエクササイズがたのしく受講でき、からだもこころも清々しく癒される。
 芙二の著書「芙二三枝子のダンスセラピー」を参考にして下さい。


舞踏ダンスメソドに基づくセラピー
         葛西俊治(北海道工業大学総合教育研究部)*1、竹内実花(舞踏集団「偶成天」舞踏家)

 ダンス・踊りを仮に三つに分けて、イ)身振りや型に一定の決まりがあ るもの、ロ)音楽やリズムが決まっているもの、ハ)いずれの限定もないも の、としてみると、舞踏ダンスはあらゆる心身の振り・有様を許容する3番目のカテゴリーに入るものとなる。舞踏の創始者・土方巽が「舞踏とは必死に突っ 立った死体である」と評したように、舞踏とは「動きや身振り」以上に「存在そのもの」に焦点を当てる「踊り」であるといえる。
 当初、「暗黒舞踏」と呼ばれた「舞踏」には、社会的通念から逸脱する要素が含まれ得るが、それは単なる「反 anti」にとどまらず、それによって心身の現状を乗りこえようとする「心身の脱社会化 de-socialization」の機縁を含んでいる。これは、一定の文化圏内に生まれ育ち、両親・兄弟姉妹・友人などの「重要な他者 significant others」によって心身に組み込まれ内在化された「社会」(S.フロイトによる「超自我」…)を再吟味する機能を合わせ持つものである。そして、様々 な「社会的規範」の中に取り込まれてしまった私という「からだ」から脱却し、再び自らのものへと回復・統合しようという試みを、セラピとしての舞踏ダンス と呼んでいる。
 セラピーとしての舞踏ダンスメソドは「心身の探求・発見・成長」を目指すものである。その際、この目的を達成するためには、1)楽しむこと playfulness、2)安らぐこと relaxation、3)向き合うこと confron-tationの三つの局面を踏まえるべきことを確認してきた。このことは竹内敏晴氏による「からだとことば」のレッスンの構成要素と類似 するが、「本人による自発的な探求・発見・成長」が可能となるために必要な基本的なプロセスだと考えられる。すなわち、「心身の探求・発見・成長」を目指 す際、そのことを可能にするだけの心身のエネルギーは、多くは「楽しむこと、安らぐこと」によってもたらされてくるため、「向き合うこと」への前段階とし て、心身の豊かさをどのように展開することができるかということである。*2
 そして、それは次の挑戦のためへの準備状態を創り出し、時宜を得て次のプロセスに進み出ることによって、身体の脱社会化を含む舞踏ダンスの真価が発揮されてくる。
 舞踏ダンスメソドによるワークショップは次の要素を含む。

A)遊び楽しむこと― からだ遊び的なムーブメントやダンス
 純粋に身体的なものから、象徴的なレベルでのサイコドラマの要素を含む場合がある。
B)安らぐこと― からだゆるめ
腕・脚・胸・頭・顔・顎等々の部位の緊張解放であるが、次の二つの要素をもつ。イ)身体の緊張部位への気づきと解放、ロ)解放による「完全 リラクセイション」あるいは「心身のリセット」。後者によって、しばしば深いリラクセイションに至り、意識と無意識のはざまを体験をすることがある。*3
C)向き合うこと― 非標準的な心身の発動(歪み、痙攣、チック、ジャーク…)
 ワークショップ<心身を探索する作業場>の中で、「あってはいけない動き・在り方」を生きてみようとする体験や身動き・身もだえそのものが「舞踏ダン ス」へと向かうものとなる。臨床心理学的 な内的理解や知的理解ではなく、「今そのようにしてある私として生きてきた」自分自身を超えて、存在の深み乃至 高みにおいて生き切ってみること―を究極の目的とする。
*1葛西・竹内は、36th American Dance Therapy Association (Oct.11-14,2001 Raleigh,NC)において"Mind-Body Learning by Butoh Dance Method"の題にてワークショップ指導予定。
*2精神科のディケアにて、毎週一回、ほぼ二年間「リラクセイション」「ダンスセラピー」を担当。その間、「楽しむこと、安らぐこと」を参加者が体験することによって、さまざまな形での「小さな挑戦・向き合うこと」へと進み出ていくケースを体験してきた。
*3呼吸のエクササイズを含み、深い意味での「トランス」から「超個的 transpersonal」な体験を射程とするものである。


「踊ること」と「癒すこと」
              鍛冶美幸

 芸術として、また表現活動としての「踊り」の素晴らしさは、多くの人が認めるところです。われわれは、踊りを通じ様々な感情や物語を表現し、それを見る ものは感動を覚えます。また踊ること自体が楽しみを与えたり、踊り手自身が陶酔に導かれ、心的浄化を体験することが少なくありません。踊りはわれわれの心 や身体に、実に多くの体験をもたらすものといえるでしょう。
 1940年代に米国で「踊り」が、心理療法の方法の一つとして用いられるようになりました。もちろんそれ以前から「踊り」は、われわれの精神生活と密接に関係していたのですが、「踊り」の持つ「癒し」の威力が、改めて注目されるようになったわけです。
 では、「癒し」とは何でしょうか。われわれはなぜ「癒し」を求めるのでしょうか?どのような時「癒し」を実感するのでしょうか?それは「踊り」の中で、どのように起こるのでしょうか?
 このワークショップでは参加者皆で身体を動かしたり、描画の作成やディスカッションを通じて、「踊り」と「癒し」の関わりについて探求していきたいと思います。


西アフリカのダンスと太鼓のコミュニケーションを楽しみましょう 
              柳田知子

 このワークショップでは、西アフリカのセナガル、ギニア、マリを中心とする地域の伝統舞踊をジンベという太鼓の演奏と共に踊ります。
ジンベの演奏と共に踊るダンスのいちばんの魅力は、太鼓の演奏とダンスの間にさまざまなレベルでのコミュニケーションがあることです。
 伝統的なリズムとダンスというと、きまったことしかできないというイメージがありますが、何百年も前から伝承された太鼓のリズムとダンスのステップは、 コミュニケーションのための共通の言葉のようなもので、踊り手にはその共通の言葉を通じてドラマーとコミュニケートするというルールが守られていれば、そ の言葉をどんなふうに話しても(使っても)いいという自由が与えられています。
 また、ドラマーは、ジンベのアンサンブルが共通の言葉を話し、アンサンブルを代表して、リーディングドラマーが、即興的なソロを演奏することで、踊り手 と直接コミュニケートするという方法をとります。即興的なソロはドラマーが踊り手の発するエネルギーを受け、そのエネルギーを増幅させるような形で演奏さ れたり、踊り手の身体や動きを通して、もっと弾みたい、もっと力強くという踊り手の欲求に答えるように、時には、舞い上がって収拾がつかなくなっている人 を落ち着かせるように演奏されたりします。
 しかし、そのようなやりとり(コミュニケーション)を感じたり、理解することは、特別難しい事ではなく、身体でリズムや太鼓の響きを感じたり、ジンベの 演奏に耳を澄ませたりしていると、だれにでも少しずつ理解できていくもののようです。でもそれに至るまでにいちばん大切なことは「楽しむ、楽しもう」とい う気持ちです。「よし、楽しんでやろう!」という気持ちでワークショップに望んでください。

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