第8回富山大会
日時
1999年10月2日(土)〜3日(日)
一日目 10am 受付、10:30am〜5pm セッション
6pm 懇親会
二日目 9am〜3:30pm セッション
会場
サンフォルテ(富山県女性総合センター)
富山県富山市湊入船町6-7
テーマ・主旨
「つながりをはぐくむダンス・セラピー」
日本全国の協会会員と一般参加者が集い、ダンス・セラピーについてグローバルな視点でのレクチャー、論文発表・実践報告、ワークショップ、情報交換などを行う。
ゲスト:柳粉順さん(韓国ダンスセラピー協会会長)
プログラム
1日目
【WS】ボディートークより「息を読む」 増田明
【発表】踊れ、舞え、お祭りだ
一心とからだが輝く時一 栗原美幸
【WS】高齢者のためのDT 大沼・町田
【総会】資格制度検討委員会報告 他 事務局
【WS】韓国のダンス・セラピー 柳粉順
【報告】精神医療の現場からの実践報告
長谷川病院DTチーム 鍛冶美幸
【WS】能の感情表現 千章修
【WS】一人一人が輝くための
ミュージック・ケア 宮本啓子
【講義】カラーコミュニケーション 川端明美
【WS】実践ダンスムーブメントセラピー講座 梶明子
【WS】水中エクササイズ 橋本令子
2日目
【WS】芙二式ダンス・セラピー
感覚をめざめさせるエクササイズ 芙二三枝子
【講義】米国DT協会の現状 崎山ゆかり
【WS】How does a dance born? Na'ama Shklar
【WS】「ドラマ」ヘ 中学校国語教育の立場から 照屋洋
【報告】即興ダンスから医療へのアプローチ
岩下−湖南メソッドのその後 橋本・三脇
【WS】ピア・スーパービジョンの試み 神宮京子
【シンポジウム】つながりをはぐくむDT 実行委
【WS】車イスで表現するために
肢体不自由養護学校の立場から 松原豊
【WS】音楽療法におけるDTの活用 永井順子
【FT】シンポジウムの余瀕を語る 郷田千秋
総会
平成11年10月2日(土)、サンフォルテ(富山県女性総合センター)において、第8回総会が開かれた。議長は清水美和子理事(第8回総会大会会長)、副議長は菅野紀子理事(第9回総会大会会長)であった。
なお、会議に先立ち、芙二三枝子会長の提案により、故池見酉次郎先生へ1分間の黙祷が捧げられた。
議題1 平成10年度事業報告
町田章一理事(事務局担当)から次のような報告があり、承認された。
(1) 理事会を1回(平成11年10月1日)開いた。(内容については「理事会報告」を参照)
(2) 第7回総会大会(平成10年9月19日〜20日)を開催した。星野仁理事が総会大会会長、KDD研修センターが会場となり、約70名の参加者があった。大会基金から 34,415円の補助を受けた(JADTA News No.35,p.10参照)
(3) 機関誌「JADTA News」を6回(33〜38号)発行した。なお、33号はADTA 国際委員会での各国代表の発表抄録集(英語)である。33号からA4版になり、37号から崎山ゆかり理事が加わり、編集者は星野・崎山・町田の3人となった。
(4) インターネットにJADTAのホームページを開き、常に情報を提供している。国内国外からの問い合わせも多い。星野仁理事担当。
(5) 月例研究会を10回開いた(第58回〜68回)。最近は参加者が増加し、10人前後の時が多い。大沼幸子理事担当。
(6) その他、国内国外にて会員がワークショップを開いたり、学会発表を行ったり、論文や著書の執筆活動を行った。
*「第33回ADTA(米国ダンス・セラピー協会)年次総会」(平成10年10月15日〜18日)がアルバカーキーで開催され、平井タカネ、崎山ゆかり、斉藤葉子、永井順子、神宮京子、天野敬子、北井めぐみ、坂本麻衣子、白井裕美、町田章一、他が出席した。
*芸術療法学会主催の「第13回芸術療法研修セミナー」(平成11年8月27日〜29日)では今年もダンス・セラピーが取り上げられ、町田章一他が講師となった。
*岩下徹理事(副会長)、橋本光代会員他はフランスのラ・ボルド病院において、患者たちを対象にパフォーマンスとワークショップを行った(平成11年4月1日)。
*増田明理事(副会長)、城石明喜子理事はロンドンにおいて、ボディートークの講習会を開いた(平成11年8月31日〜9月9日)。
議題2 新入会員、退会会員の報告
理事会で入会を承認された「新会員リスト」が読み上げられ、事務局から説明がなされた。
新会員リスト(23名、申請受付順、敬称略)
遠藤卓郎(つくば市)、ナーマ・シュクラール(東京都渋谷区)、倉澤千代子(千葉県松戸市)、長瀬節子(山梨県中巨摩郡)、増山尚美(北海道札幌市)、
川辺きよみ(北海道札幌市)、新木郁子(広島県北広島市)、木村恵美子(茨城郡稲敷郡)、五十川啓子(京都市東山区)、山崎久美(横浜市港北区)、木村友
美(東京都小平市)、中村京子(北九州市八幡東区)、神宮京子(群馬県高崎市)、林美奈子(東京都杉並区)、新澤桃子(栃木県大田原市)、徳永美智子(山
口県防府市)、和泉舞(東京都町田市)、金英恵(兵庫県高砂市)、追川布美子(埼玉県深谷市)、田邊信太郎(千葉県鎌ヶ谷市)、関田知子(千葉県勝浦
市)、河村順子(東京都豊島区)、乙津馨(富山県富山市)
なお、林のりこ様は平成11年1月に入金したが、申込用紙を提出していないので連絡がとれず、入会申請事務が終了していないので、このリストには含まれていない。
理事会で入会を承認された「退会者リスト」が読み上げられ、事務局から説明がなされた。
退会会員リスト(7名、入会順、敬称略)
藤原靖子、小野久美子、秋里ゆきよ、下玲子、西村友美、高橋ヒロ子、伊藤知子
これまでの会員は 227名であったので、現在の会員数は 243名(=227+23−7)となった。
議題3 平成7年度会計報告、会計監査報告
吉田恵美子理事(会計担当)からの会計報告資料(4ページ参照)が配布され、町田章一理事から「取扱郵便局の変更に伴い、JADTA News 編集費(6回分)、通信費の一部(約1万円)の支出が執行できなかったので、11年度予算から支出したい」等の説明があった。
照屋洋監事、清水美和子監事による会計監査報告の後、会員から承認された。
議題4 平成11年度事業計画、及び、予算案
町田章一理事(事務局担当)より、例年通りの規模で行われることが提案され、承認された。(4ページ参照)
(1) 取扱郵便局の変更に伴う未執行の10年度分支出を11年度予算から執行する。
*JADTA News 編集費(6回分、60,000円)
*通信費(約1万円)
(2) 平成10年度理事会で承認された以下の費用を11年度予算から執行する。
*池見酉次郎先生への花輪代(20,000円)
*協会資料保管ロッカー代(30,000円)
*学術研究誌に関する通信費(10,000円)
*学術研究誌に関する会議の旅費→後述する。
(3) 会費督促の件。年末に会費督促を行うこと、会費を全納していない会員には学術誌、機関誌の発送を止めることが事務局に求められた。また、会費督促を監督する係りとして理事会で鹿島由起理事が任命されたことが報告された。
*なお、事務局の手違いにより「会議費」と理事会で承認された「学術研究誌に関する会議の旅費」とを予算案に計上しなかった。この点については、毎年計上
している「会議費」は雑費から執行することとし、「学術研究誌に関する会議の旅費」は改めて次期総会に提出することとしたい。
議題5 第10回総会大会会長の選出
第10回総会大会会長の立候補者、推薦者は無かった。事務局案として町田章一(埼玉県浦和市)が推薦され、選出された。なお、来年の第9回総会大会会長については、昨年の東京大会において、菅野紀子(秋田県)が選出されている。
議題6 その他
会員から事務局に対し住所録の作成が求められ、検討する旨、事務局から回答があった。
閉会に先立ち、菅野紀子(第9回総会大会会長)から、出席者全員に挨拶があった。
以上 (文責 町田章一)
会計
平成10年度 会計報告
<収入の部>
項目 金額(円) 摘要
――――――――――――――――――――
繰越金 1,138,874
入会金 24,000 1,000×24
年会費 451,410
受取利息 64 普通預金利息
雑収入 600 折り込み費
――――――――――――――――――――
合計 1,614,948
<支出の部>
項目 金額(円) 摘要
――――――――――――――――――――
通信費 6,500
事務用品費 588
印刷製本費 219,859
会議費 50,000
報酬手数料等 52,205 編集料等
雑費 57,627 会費調査費等
次年度繰越金 1,228,119
――――――――――――――――――――
合計 1,614,948
平成11年10月1日に、平成10年度の日本ダンス・セラピー協会会計を監査しましたところ、適正妥当なものと認めました。
平成11年10月1日
監事 照屋 洋
監事 清水美和子
平成11年度 予算
<収入の部>
項目 金額(円) 摘要
――――――――――――――――――――
繰越金 1,228,119
入会金 25,000 1,000×25
年会費 1,000,000
受取利息 100 普通預金利息
――――――――――――――――――――
合計 2,253,219
<支出の部>
項目 金額(円) 摘要
――――――――――――――――――――
通信費 25,000 うち1万円は学術誌編集委員会用
事務用品費 30,000 専用ロッカー代
印刷製本費 550,000 JADTA News 250,000
学会誌 300,000
会報編集費 240,000 10年度分 60,000
11年度分 180,000(30,000×6)
雑費 20,000 池見先生
次年度繰越金1,388,219
――――――――――――――――――――
合計 2,253,219
詳細
〈1日目〉
●ボディートーク体験講座『息を読む』
ボディートーク協会会長 増田 明
息をすることで私たちは生きています。そして息は心の持ち方、頭のイメージで色々に変化します。即ち喜びの息、恐れや不安の息、深い溜息など、その時その時の息の在り方で生きているのです。それらの息が行動を起すのですから、正に息の仕方は生き方を表すのです。
この講座では、先づ二人組となって、体に表れている心の悩みを「心身一如の体ほぐし」で毒抜きをし、心身共にスッキリしたところで、「言葉や動きの奥に潜む息」を読み取る実習をします。【WS】
●踊れ、舞え、お祭りだ!
−心とからだが輝く時−
国際ウェルフェアメディカル専門学校
栗原 美幸
札幌のお祭り「YOSAKOIソーラン」のビデオに出会ったのは、今から3年前。今でもその感動を覚えています。自分を力一杯表現し、一人一人が輝きな
がら踊っている姿を見て、「人間て素晴しい」「私達も一緒に踊ってみたい。」と思いました。踊りに参加した人も、見ていた人も、「踊りは不思議、このわき
でるようなエネルギーはいったいなんなんだろう」と心と身体の解放感に酔いしれていました。今回は、そのビデオを見ながら、踊りの持つ不思議な力を皆さん
と一緒に話し合ってみたいと思います。【発表】
●高齢者のためのダンスセラピー
東邦医療短期大学 大沼幸子
大妻女子大学 町田章一
高齢者は身体的、精神的、社会的(経済、家族など)状況の個人的相違が著しいという特徴を持っています。従って高齢者を集団で行う場合、どこに焦点をあ
てるかとというのが、大きな課題となります。痴呆で帰宅願望の強い人、難聴で殆ど聞こえない人、車椅子での参加の人、大変活動的な人など、数例をあげても
参加状況は多彩です。
当日は実践と事例を交えながら高齢者との関わりについて参加者の方々と探っていきたいと考えています。【WS】
●韓国のダンス・セラピー
韓国ダンス・セラピー協会 柳粉順
ワークショップでは、柳粉順さんの方法論を体験させていただきます。
シンポジウムでは、韓国におけるダンス・セラピーの現状とその問題点を報告していただきます。【WS】
●精神医療の現場からの実践報告
長谷川病院ダンス/セラピー・チーム
鍛冶美幸 香田真希子 宮城整
小森智代子 松尾登志子 城内久美子 松田陽子 横山安寿華 木下慎慈
われわれの病院では、1988年から精神科入院及び外来デイケア通所患者への治療として、ダンス/ムーブメント・セラピー(以下DT)を実施している。
DTプログラムは、臨床心理士、看護婦、OTらからなるDTチームによって運営されている。チームの運営スタッフ(コアスタッフ)は、ニューヨーク在住のチェイス派DTRAmy Wapner氏から、定期的にトレーニングとスーパーヴィジョンを受けている。
DTセッションは、現在精神科7病棟と、老人病棟、デイケアにてそれぞれ週一回行われている。
当日は、精神医療の場におけるDTの治療的意義と課題について、われわれの病院における実践報告を交え論じると共に、フロアからの意見や質問を伺い、治療としてのDTについて、参加者皆で考えていける時間を持ちたい。【報告】
●能の感情表現
宝生流職分 千 章修
能の型には、美しさだけの舞踊的な型と、特定の意味をもたせた型とがあります。全体の立姿は安定感のある姿勢で、白足袋を履き摺り足が原則です。豪華な能装束に能面をつけ、中啓(ちゅうけい)という扇を用いることが多い。
感情の表現の型は、百余りです。写実的な型として、ユウケン(歓び)・シヲリ(悲しみ)・合掌(祈り)・打合せ(驚き)など、もろもろです。そのほか足拍子も、踏み方がさまざまです。演者の技量が重きをなします。【WS】
●一人一人が輝く為のミュージック・ケア
ミュージック・ケア協会 宮本 啓子
音楽の特性を生かし、心と心を響かせ合い、その人がその人らしく生きる為の援助を行うミュージック・ケアを長年実践してきました。知的障害児、痴呆性老
人、自閉症児、情緒障害児、重症心身障害児などの多くの福祉の現場で心に染みるような笑顔に出会い、自分自身も励まされ、心を暖まらせてもらいながら生き
ていきました。
だれでも、どこでも、いつでも、みんなでからだを動かし、楽器を鳴らして楽しめます。【WS】
●カラーコミュニケーション
高岡商業高等学校教諭 川端明美
「すべての物に色があるのはなぜ?それぞれに色が違うのはどうして?」ととても不思議に思った。
好きな色を使って絵を描いたり、ぬり絵をしたりすると、その刺激によって気分が落ち着いたり、リラックスしたりする。色がもっているパワーってすごい。暮らしの中にあふれる色に気づき、心身のコンディションに合わせて色を使ってみませんか。
授業の中に色を意識した学習を取り入れています。その実践もご紹介します。【講義】
●実践ダンスムーブメントセラピー講座
ラバンセンターロンドン 梶 明子
クライアントの受入から、動作観察やインタビュー等を中心とした評価の仕方、治療目標やプログラムの設定、レポートの書き方など、ダンスムーブメントセ
ラピストとして働く上で必要な技術を紹介します。すでにセラピストとして活躍していらっしゃる方は、ご自分のクライアントの症例を頭において、そうでない
方は、ダンスムーブメントセラピストの仕事とは何かを知るきっかけになればと思っています。【WS】
(RDMT UK)[イギリスダンスムーブメントセラピスト協会認定ダンスムーブメントセラピスト]
●水中エクササイズ
高岡社会保険健康センター 橋本令子
泳げない、水が怖い、リズムに乗れない人年齢性別に関係なく水の世界は受け入れてくれる。お互いランダムに動く事で水の流れや抵抗が生まれる。その水の
持っている特性を最大限に利用して体幹を安定させる筋群をバランス良く強化し整える。水という環境が、私達に与えてくれるダイナミックな世界、和み、心地
良さ、爽快感、楽しさを体と心の触れ合い通じて、今まで気づかなかった新しい自分を発見してみてください。【WS】
懇親会
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〈2日目〉
●芙二式ダンスセラピー“感覚をめざめさせるエクササイズ”
当協会会長 現代舞踊家 芙二三枝子
まずからだの重さを地球や、他者にあずけ十分にリラックスする、その後芙二式ダンスセラピーの「脊合せ」や「気の交流」を行うと、からだは深い部分から
めざめだし、やがて体が欲している、あるがままの動きを、静かに小さく動きはじめる。この点に心を集中して、無心の心境を深めていると、日常酷使している
器官の働きは、その時休めているので、深い休息を味合い、自分の中の別の力が生きて活動することを悟り、解放感を味合う。【WS】
●アメリカダンスセラピー協会の現状
奈良県健康づくりセンター 崎山ゆかり
昨年に引き続きアメリカダンスセラピー協会(ADTA)の現状を報告する。今年は特にダンスセラピストの倫理について、ADTAの倫理綱領を中心に報告しながら、資格問題と合わせて検討を進めていく。
人の心とからだに深くかかわる重要性を如何に認識していくか、参加者とともに意見交換をしながら考えてみたい。【講義】
●How does a dance born ?
Na'ama Shklar
This workshop focuses on the inner dance and self rhythms and the
process in which we can unfold our authentic movement as a bridge to
our souls.Participants will have the opportunity to create their own
dance and to share this process with others.
どのようにダンスは生まれるか?
ダンスセラピスト ナーマ シュクラー
このワークショップでは私たちが本物の動き(オーセンティックムーブメント)を広げることができる内なるダンスと自己のリズムとプロセスに焦点を当てます。参加者は自分自身のダンスを創り出しそのプロセスと他者とシェアし合う機会をもつことでしょう。【WS】
●「ドラマ」へ
−中学校国語教育の立場から−
井荻中学校教諭 照屋 洋
学校演劇で、よく、一歩前に出てせりふを言わせているのを見ることがある。舞台の上できちんと成立するための動機がからだの内側で起きていないのに動く
(動かされる)ことは、からだにとってかなり深刻な問題だと思う。逆に、内側を大切にした活動を続けていると、不登校の生徒が学校に来られるようになるこ
とがある。今回は、日常行っている演劇部のレッスンをいくつか紹介したい。【WS】
●即興ダンスから医療へのアプローチ
−”岩下−湖南メソッド”のその後−
湖南病院 橋本光代 三脇康生
今春フランスのラボルト病院で”岩下−湖南メソッド”を試みた。午前中、岩下が即興ダンスを公演し、午後、ダンスワークショップを開催した。当日は、ビデオを使用してその時の様子を報告したい。【報告】
●ピア・スーパービジョンの試み
群馬病院ダンスセラピスト 神宮京子
臨床家として育っていくためにはスーパービジョンの必要性が欠かせないが現実に日本においてこれを得るのは大変困難である。そこで今回はいわゆるスーパー
バイザー不在の、しかし同じダンス/ムーヴメントセラピスト(アプローチの違いこそあろうが)同士としてどのように学びあえるか、あるグループの報告を基
に共に探っていきたい。【WS】
●シンポジウム
「つながりをはぐくむダンス・セラピー」
パネラー 柳粉順 尾久裕紀 照屋洋
崎山ゆかり 司会 久湊尚子
これからのダンスセラピーの発展のために、実践事例を中心に話し合い、ダンスセラピーの可能性をさぐるとともに、実践者としての質の向上をめざします。
●車イスで表現するために
−肢体不自由養護学校の立場から−
桐ヶ丘養護学校教諭 松原 豊
車イスに乗ることは車イスに拘束されていると思われています。
でも車イスに乗って、自由に「からだや動きで表現」する時、車イスは全く気にならなくなります。むしろ車イスであることが、美しいとさえ思えることもあ
ります。車イスでの動きの瞬間瞬間がすばらしく思えます。滑り、走り、さっと止まる。車イスで自分を解放してみましょう。(車イス使用者の方へ、自操でな
くても参加できます)【WS】
●中医学の健康観
健康指導士 久本芙美代
今どうして中医学が求められているのでしょう。健康ってどんなことをいうのでしょう。「あなたは今、健康ですか?」
現代医学とは違った角度から人体の営みを見つめている中医学の健康観について、共に考えていきたいと思っています。【講義】
WHO承認世界医学気功学会・日本五式梅花気功研究会指導員、日本エアロビックフィットネス協会ADI、からだからの癒し研究会
●音楽療法に於けるダンスセラピーの活用
ミュージックセラピスト ダンス・
ムーブメントアナリスト 永井順子
音楽療法では音楽を通して、自己認識、表現、他者との交流を目的に様々な音楽活動が行われる。歌唱や楽器演奏派身体活動を伴ない、また音楽それ自体、身体の動きを呼び起こす要素を持っている。
ここでは、音楽療法とダンスセラピーの相乗効果について検討し、音楽療法セッションをダンスセラピーの視点でとらえる試みをする。【WS】
●フリートーク シンポジウムの余韻を語る
上市中学校教諭 郷田千秋
シンポジウムで話し合われたことがらの続きをしゃべりたい人、その他日頃話し合ってみたいと思っていることなどを自由にオシャベリできる時間です。【FT】
ワークショップ報告
【10月2日(土)】
『ボディートークより「息を読む」』
ボディートークのワークショップは五十余名の参加者で始まりました。まず軽く発声をしながら体の内部を揺する自然体運動です。四ツン這いになって背骨を
波うたせる《馬の背ゆらし》運動は初心者にとってむずかしい動きなのですが、オットセイのボールつきをイメージして城石先生が絶妙のリードをされたので、
ほとんどの人ができるようになってしまいました。
次に二人づつ組になって《心身一如の体ほぐし》をしました。人と人とのふれあいは「あたたかく、やわらかく、さわやかに」本当に気持いいタッチでなけれ
ばなりません。赤ちゃんはもちろん、犬や猫もトロッととろける揺すり方を教わりました。背中に表われる借金のしこりや切なさのしこりの位置を確かめながら
体を通して心もほぐれ、会場はやわらかな空気と笑いにあふれました。
後半は増田先生による《息の読み方》です。胸の病いの声とおなかが減っている声との違いを実習したり、《外息》の人のしゃべり方や性格、《内息》の人の
行動を体ぐるみ表現してみると、人の内部が感じられて、とても不思議でした。最後にはカンツォーネや演歌もとび出して、民族の息の遣いまで実感で納得でき
ました。あっという間の一時間半でした。(長岡崇代)
『高齢者のためのダンスセラピー』
用意した椅子がたらず何回も補充しなければならないほど、多数の参加があり、最終的には30余名になった。これはワークショップ名「高齢者のためのダン
スセラピー」の高齢者が今日的課題と認識されたと思う。講師は大沼幸子先生、町田章一先生であった。大沼先生から日常実施している集団ダンスセラピーの紹
介から、このセッションが始まった。セッションにも起、承、転、結があるが、まず起として、椅子に座ったまま、両手を上げて上半身を左右になびかせ、つい
で足をたたくなどは高齢者向きの導入であった。承が続き、転として速いリズムのダンスが続いた。途中1対1のソーシャルダンスで見せ場を作り、結につな
ぐ。次に、町田先生が補足的に、先生の集団ダンスセラピーを紹介された。特に結として、万歳で締めくくる方法をとっておられた。質疑として、参加者の安全
性、ダンスへの参加が全員かどうか(輪に入れない人への対応)などがあった。次回は参加者がどのように変わったかなど報告していただければと思う。(山中
克己)
『韓国のダンスセラピー』
30数名の参加で和やかに始まったセッションは、全体をとおして、自分自身の内側を見つめて動きを生みだす内容だった。その中にも人との関係性を重視した
ワークが多かったように思う。全員で円隊型になり目と目があった人と互いのポジションを交換する。ペアになり一人が眼を閉じてもう一人の意のままに動かさ
れたり、ポーズを創る。さらには動きをリードする人の意志により、グループによるポーズが生まれ、大きな一つの絵を描く…時折笑い声が思わず漏れてしまう
ような楽しい体験であった。さらに、興味深かったのは最後の柳さんからの質問だった。最終的に空間に出来上がった絵は、非常に平面的であったとのこと。韓
国で同じワークを実施すると必ずといっていいほど、立体的な絵柄になるという。これが偶然の産物なのか、同じアジアにおいても異なる文化的側面の一つの現
れだったのか。もっともっと時間をかけてゆっくりとワークを噛みしめてみたいと感じた。(崎山ゆかり)
『精神医療の現場からの実践報告』
広い研修室は60名余りの人たちで一杯になっていた。参加者は,それぞれ職種も経験も様々であったため,全体を5〜6人のグループ毎に分け,各グループか
ら一つずつ具体的な質問事項を出し,それに対して答えるという形式で行なわれた。質問は多岐にわたっていたが,講師の鍛冶先生は内容をうまく整理され,わ
かりやすく順序立てて報告された。
報告内容は,精神障害の基礎的な知識の理解にはじまり,それに対する治療の概要,治療行為としてのダンスセラピーの果たす役割,ダンスセラピーのセッ
ション構造等の理論的なものから,グループセッションの方法,音楽の選択の仕方,症例別の具体的な指導法,拒絶,抵抗に対する対処の仕方等,実践的な内容
まで幅広いものであった。また,チームアプローチの良さを示すように,長谷川病院のセラピー・チームのスタッフ2名の協力による具体的なセッションの説明
は,実際にその場にいるかのような迫力があり,精神障害以外のフィールドで実践している筆者等にも理解しやすく,大いに参考になるものであった。(松原
豊)
『能と感情表現』
遅れてのセッション開始であった。その間、居合わせた理事の先生がストレッチやボディワークなどをとっさの判断でやって下さった。集まっていた受講者は
思いがけず適当な量のウォーミングアップをすることができた。機転のきく大沼先生に感謝! この融通性は当協会の長所だから大事にしなくちゃね。
ほどなく講師の千先生が到着、能(宝生流)の歴史と特色を簡単にお話下さった後、扇やさまざまな小道具を使いテキストに沿って能の感情表現の型を次々と
披露。受講者は講師の動きを模倣してはいたが、できればもっとからだを動かしたかっただろうなと思われた。他に能面と登場人物の心理描写などのお話もあっ
た。最後に能管(横笛)の生演奏に合わせ一曲舞って下さり、受講者はひとときの幽玄の世界を共有した。
どちらかというと能の鑑賞入門の色合いが強かったが、今回得た知識経験を手がかりに関心のある方は、型から入る能楽のセラピー的効果の可能性について是非探ってみていただきたいと思う。(清水美和子)
『一人一人が輝くためのミュージックケア』
「音楽の特性を生かして、対象者の心身に快い刺激を与え、対人的な関係の質を向上させ、情緒の安定をはかること。さらに運動感覚や、知的機能の改善を促
し、対象者の心身と生活に好ましい変化を与える。」ということをねらいとして行われているミュージックケアの説明の後、実践を体験した。
手の動作をつけて童謡を歌う、二人組でやってみる、先生と一緒に歌いながら動いてみる、みんなで輪になって・・・、竹の棒を両手に持ってたたいてみ
る・・・だんだんみんなの表情がゆるんできて・・・にこにこしながら・・・それぞれ違う楽器をもって、曲に合わせてたたいたり、振ったり、こすったりする
頃になると、先生の指示を待たずに自ら動いている体、うきうきした気持ちになっていた。( 郷田千秋)
『カラーコミュニケーション』
“自分自身を楽にし、周りの人とも分かり合いたい。その手段が「色」でした。”と講師の川端さん。まず100枚の和紙色紙の中からいくつかの言葉をキー
ワードに「今の気分」を拾い上げました。選んでみて改めて「こんな気分!」と驚きの連続でした。また「ボディ・カラーマップ」に今のコンディションの感じ
をはき出すように塗ったり、「ヒーリングイメージ」として優しく癒すように塗りました。私自身、からだの内をゆっくり観察しながら塗ってみると本当にその
色に染まるようで心地よくなっていきました。血の残像を消すために手術室は緑になった補色残像の話や、日本の伝統色「はぜもみじ」の色合わせなど印象的で
した。心身に与える色彩の作用を活かす試みとして、(講師は高校教諭なので)授業の始めに「ボディ・マップ」を塗ったり、静かな気分になりたい時は「青」
だけをずっと塗ってもらったりと取り入れているそうです。身近なことからさっそく試してみようと思う素敵なワークショップでした。(久湊尚子)
『実践ダンスムーヴメントセラピー講座』
・受講者 25名
1.自分らしいそれぞれの動きをしたり、5人ずつグループに分かれて、大きな白い紙に好きな好きのサインペンで、今思っていること感じていることを絵や文字で表す。
2.ふつう、病院に行ったときにどういう手順で進行していくかを出し、それが精神的な障害を持った場合にはどう進行するかを出し合う。
3.ダンスムーヴメントセラピーが必要な人はどんな人か。どういうセラピーが必要か。それをどう判断していくのか。逆にやってはいけない人、やってはいけない状態とはどういうものか。等々、講師の質問にみんなが答える形で、実践的なステップに沿って意見を出し合う。
おおまかな流れは以上のようなものでしたが、印象的だったのは、セラピストとしてどういう責任を持てるのかが判断基準の中に明確にあることでした。どう
いう人の、どういう状態のときに、どういうダンスムーヴメントセラピーが有効なのか。責任の持てないことは最初からしてはいけないのだという厳しさを感じ
ました。
もう一つ、セラピーの仕事は非常にエネルギーを使うものであり、セラピーを終えた後、セラピスト自身もセラピーを受けるという話には納得できました。1
回1回のセッションが真剣勝負であり、それを行なうのが人間であれば、その人の再生が常に図られていなければならない。しかし実践の場にセラピストがそれ
ほど配置されていない日本ではそのことはどう取り組まれているのでしょうか。それぞれの経験なども聞いてみたかったです。(管野 紀子)
『水中エクササイズ』
泳げない人、水が怖い人、年齢・性別に関係なく水の世界は受け入れてくれる。今回、30名弱の人が水中エクササイズに参加した。大学生から、孫をお持ちと思われる方までお見受けした。水着になり、橋本令子先生の話を聞く。
水中で水の抵抗や流れを利用し、からだを動かすのがテーマである。まず、プール内をジグザグに歩くと複雑な流れがプール内に起こる。その流れをからだに
受けつつ、抵抗し前へと進む。次にプールサイドの橋本先生の動きに合わせ、足の爪先から頭の天辺までダイナミックに動かす。(陸の上ではたいへん疲れる動
きだろう。)まるで、ミュージカルスターのような感じを思ってもらいたい。橋本先生の活発な動きと声に参加者の顔に笑みがこぼれる。次は二人ずつペアにな
り、お互いフォークダンスを踊るようにリズムに合わせながら手足をタッチする。このことで、第三者である水を通してペアの方と心のふれあいを参加者は感じ
たようだ。水という環境がみんなを包むように流れている。次に、棒状の浮き具(ヌードル)を使いその場で浮いて近くの人と話したり、それぞれの一つの島に
なったような気分で漂い、最後に浮き具を足首と背に添え水面に寝ころぶ形をとり、ゆるやかな音楽とともにこの小一時間に動かした全筋群を癒した。
水のベッドのやわらかさを感じ、今日参加者は水中ならではの世界、心地良さ、爽快感、楽しさにからだと心でふれあって、水との新しい関わりを発見できたことであろう。(常楽 秦)
【10月3日(日)】
『感覚を目覚めさせるエクササイズ』
セッションが始まる5分前である。集まった受講者の緊張をほぐすように「床に寝て、体を楽になさっていいですヨ」と講師の芙二先生の包み込むような声。皆おもいおもいに体をほどいたり、伸ばしたりしている。50人以上の受講者である。
こうして、自然に無理なくセッションが始まった。床にあお向けに寝て、腰をユラユラ。膝を立て、手足をグーパーと握ったり開いたりした後上体を起こ
し、”2人で行う手当”へと進んだ。手当の最中、会場のあちこちから「気持ちいいー」と声が聞こえる。そして、あぐらをかいて座った”2人組の背中合わ
せ”から、立って行う”ツリーとベアー”、相手と掌を合わせ、目を閉じ深く静かに呼吸しながら気の通いを行う”鏡のエチュード”のエクササイズへと進展し
ていく。ラストは、ビニール袋を使っての”重さの遊び”。物の重さや質を感じて様々に動く。1枚を手に持ち、フワッと投げあげる。2枚、3枚、最後はひと
抱えにして束ね、天に天に投げ放つ。「ワァーワァー」とホールに広がった声は、解放感にあふれていた。
最後はふたたびあお向けに寝て深く呼吸。マヤでは「あなたの道はいかがですか」とあいさつをします。「あなたというのは、別の私という意味なのです。自
分を慈しんで下さい。」と先生の声、セッションが終了した。終了後の受講者からは、「流れの作り方がすばらしい。」、「涙が出てきました。」などの声が届
いた。
セッションのまとめ
1.1つの大きな流れの中で、深く静かに始まり、ダイナミックに展開していく。流れが見事である。
2.先生独自の言葉がけにより、イメージが広がり、いつのまにか即興へと導かれる。
3.体から心へ働きかける、触れ合いのエクササイズによりおのずと心は無心になり、解放され、表現にまで高まる。
4.池見酉次郎先生の著書『肚、もう一つの脳』の中に、「調身、調息は調心(心、脳をととのえる)のベースをなすものとして、近年、西洋流の精神文化の
限界への気づきから、東洋の体をととのえることに力点をおいた身体文化の役割が国際的に重視されてきております。」と書かれている。芙二式ダンスセラピー
は、体から入り、心に働きかけ、脳をととのえるという点において、まさしく東洋的であり、日本独自の方法の一つといえる。(鹿島由紀)
『踊れ、舞え、お祭りだ!心とからだが輝く時』
栗原先生のビデオによる講義は、10月3日サンフォルテの303号室で行われた。内心、ビデオを見ながらというのは一方通行かなと思いつつ参加したが、
ビデオの映像から流れてくる若者の汗、息遣い、熱気がすぐに体の中にビリビリと伝わってきて、正直目から鱗! すぐにもあの映像の中に入って私も一緒に参
加したいと思った。ビデオの内容は札幌での祭りの様子、福井でのイベントの様子であったが、どちらも老若男女が、同じ目的に向かう姿の美しさが強く引き出
されたもので、圧巻であった。
ビデオ鑑賞のあと栗原先生の指導で「YOSAKOIソーラン」を参加者の皆さんと鳴子を持って踊った時は、日本人に流れている血と意気を感じ踊りの経験
の薄い私でさえ心の底から楽しいと思った。北陸三県での今回の企画があると耳にしたが、是非その時は参加させていただきたい。ただ、講義の参加者が少な
かったのが非常に残念だった。( 大家三穂)
『How does a dance born?』
今回のワークは、「どのようにしてダンスは生まれるのか」と言うテーマで、ウオーミングアップの後、自分の動きが出てくるまで、自分の身体を動かしてみ
る。その動きを2人組になって、交代で動く。その動きが自分にとってどのようなものだったのか、他者から見た場合どんな風に見えたか、など2人組で話しあ
う。次も2人組の1人の方が自分の身体に聞きながら動いてみる。もう1人の人は、端の方にすわり見守る。というオーセンティックムーヴメントを行った。途
中でのシェアリングが少し長くなり、最後のオーセンティックムーヴメントが1人5分程度しか実施することができなくなり、最後は急ぎ足であった。このこと
に関して、ナーマさんは自分の時間の使い方について、全員に謝りたいといい、時間のこと、じっくりできなかったこと、ここでの体験をどのように生かしてい
くか等について、フォローした。確かに時間は不十分であったが、セラピストとしての謙虚な姿勢、1人1人の反応を大切にしていく姿に感動した。(大沼幸
子)
『 「ドラマ」へ』
つながりをはぐくむダンス・セラピーをスローガンにスタートした富山大会。2日目の午前、ホールで約80分、照屋洋さんのWSが行われた。中学校の国語
教諭として、ご活躍ですが、演劇のもつ教育的効果に焦点を当て、実践を続ける中で成果をあげられています。今回のWSでは、日頃の授業や演劇活動で行って
いる「ドラマ」へ導く方法の一例をご紹介下さいました。
簡単な自己紹介の後、おだやかな雰囲気で実技に入った。まわりを感じながら自由に歩くことから始まり、言葉かけによって次第に受講者が感じるままに体を
伸ばしたり、曲げたりするように促された。次は2種類のゲームを行った。受講者は、思わず声を出したり、走る、逃げる、急ブレーキをかけるなどし、一気に
ホール全体のエネルギーが高まり、心身ともに弾みが出てきた。そして、ドラマの導入である内側をみつめる、相手を感じて行うなどの動きへと進んでいった。
その中からピックアップしてみようと思う。
1.イメージを持ちながら歩く(自分の鼻が高くなる→次に低くなる→最後に基の自分の鼻に戻る)。私自身、イメージを持つことで体の内側に変化が生じ、自然に動きも変化するという晃かな気づきを体験した。
2.2人組で互いの頬をたたき合う真似をする。パシッと掌で音をさせ、まるで本当にたたかれたように動く。タイミングを合わせることや力の入れ具合など、相手としっかりかかわる必要があった。
3.4人組になり、先頭の動きを真似る。外側の形を行うのではなく、内側から出てくる動きの質を感じ取って動くことにポイントが置かれていた。最後は床にリラックスして、この時間、行った事を思い返し、良いイメージの自分を思い描き、終了した。
私は今まで、照屋さんのWSを何度か受講しましたが、必ず何か気づかせてくれる内容を持っていました。今回も同様で、受講者の皆さんも、たいへん充実した内容のある時間を過ごしたように感じました。(鹿島有子)
『即興ダンスから医療へのアプローチ −”岩下−湖南メソッド”のその後−について』
発表は湖南病院の橋本光代(はしもと・みつよ)さん。共同研究者に三脇康生(みわき・やすお)さんがご一緒ですが、当日は欠席。岩下とは、長年、湖南病
院で月1回患者さんたちとのDTの時間をもつ山海塾(舞踏)のメンバー岩下徹(いわした・とおる)さん。今春、パリ南西ブロワの精神科ラ・ボルド病院での
岩下さんの即興ダンスとダンスWSのVTRを見ながらお話しを伺い、次に、湖南病院でのAさんが川口さんの尺八と岩下さんの踊りに呼応した感動的な様子の
VTRが写し出されました。見終わって、半円形に椅子を並べた30人ほどの参加者からは、踊ることがどのように患者さんへの良い影響があるのか、また、精
神病院の専門家からはDTに対する報酬など具体的な質問も出され、関心の高さと将来への強い展望が感じられました。その中で、橋本さんの「私がいるから続
けられている」という発言に、個人の意志の強さが何事にも原動力だと痛感した次第です。(堀切敍子)
『ピア・スーパービジョンの試み』
ダンスセラピーの技術の向上には欠かせない指導の体制が、日本ではまだ整っていない。そんな中で、セラピスト同士が互いのセッションを評価しあうことで学びあおうという共同作業が、今回の試みである。
渡辺が実際に行ったあるセッションを、「その時何が起きていたのか」「何を目指していたか」など複数の視点からの経時的な記録を詳細におこし、二人で検討を加えた結果を元に、そのセッションの再現を試みた。
30人強の参加者の中から11人が立ってミニグループを作り、渡辺のリードに従い、輪になって体を動かすウォーミングアップから始めた。軽い音楽を流し、体で円を描く、歩く/止まるといった動作を経て、「水が流れている場所を裸足で歩いている」イメージで動いて終了。
参加者からは、断続的な動作によりセッションの流れが悪くなっていること、指示的過ぎることが指摘された。後者に対しては、慢性分裂病者が対象なので、ある程度指示的になるのは必要だ、との意見が出された。
時間の制約や、セッションを再現することの困難さなど、課題は多い。しかし、必要なものは自分たちで作っていこうという前向きな姿勢は、大いに評価に値すると思う。(星野 仁)
シンポジウム『つながりをはぐくむダンス・セラピー』
前半は、4人のパネラーの方にそれぞれの立場から実践事例を中心に話をしていただいた。
■尾久裕紀さん(北青山診療所 精神科医)
医療行為でなく、医療を代替・補完 する心身相関療法としてダンスセラピーを実践。適応は心身症・緊張の高い人・女性。毎週1回のセッション、診察。月1回のチェックリスト(POMS,GHQ-30)、主治医とセラピストの検討会。
■柳粉順さん(韓国ダンス・セラピー協会会長)
対人関係・自己表現のための舞踊治療について、まず韓国人の恨み文化と情緒の身体化の特徴をふまえた。ダンスセラピーの目的は、調和と秩序の中で人間関
係が円滑になること。治療の過程で相互認識、相互信頼感、自信感、責任感、安定感を経験。10人のグループで14週間実施。最初と最後に対人関係変化の測
定(R.C.S,Yalom
Q-shor)。1回60分の内訳は、ウォーミングアップ・身につけ・主題の表現(信頼と親和、対話と自己表現、肯定的な変化)・整理討論である。
■照屋洋さん(井萩中学校 国語教諭)
中学校の演劇部で生徒と接しながら、子供達は相手ときちんと向き合っているのか?」疑問に感じている。自分のからだを掘り下げ、演劇に取り組むことで、
子供のからだがどう変わるかを試行錯誤している。からだの内側に動くものを感じ、感じるまま動いたり、きちんと相手に向かって話しかけたり、成長期の欠落
している部分を補っているようにも思える。
■崎山ゆかりさん(奈良県健康づくりセンター DTR)
日本では目的や名称をダンスセラピーとすることはまだまだ難しい。実際、ダンスセラピストの資格 は持ちながらも、活動する際は対象者に会わせて様々な
名称を用いている(ボディ・ワークの時間・ムーブメントセラピー・触れ合いムーブメント・からだ コミュニケーション等)。しかし、やっていることの本質
は皆同じであり、経験を積みながら日本でのダンスセラピーをつくっていくことが大事。
後半には、客観的評価の方法についてや中学校での授業に生かせる具体的内容、日本と韓国の恨みの違い等、質疑応答がなされた。課題として、経過判断や価
値が伝えやすくなるための客観的評価の仕方があげられた。次のステップとして大切なことなので、協会員の皆さんでJADTA
News等情報を伝え合って行けたらと願う。 (久湊尚子)
『車イスで表現するために』
以前車イスでの社交ダンスに触れる機会があり、その時は、「参加するというのよりも、見せて頂くもの」との印象が残っている。
しかし、この度の松原先生の車イスダンスは、フォークダンス的感覚で小学校の時にクラスメートと踊った懐かしさと、わかりやすいステップで「あ、これな
ら誰にでもできて、楽しめる。」と感じた。又、グループでの小創作では、車イスのもつスピード、回転力が作品をより幅の広い作品にしてくれ、見る者もとて
も楽しめた。
あっという間の1時間15分で、まだまだ聞きたいことが多々あった気がする。この体験を基にこれからも、車イスダンスについて学んでいきたいと思う。又、どんどんレクリエーションとしての福祉の面がすすんでいくことを願う。(大家三穂)
『アメリカダンスセラピー協会の現状』
崎山さんより昨年に引き続きアメリカダンスセラピー協会(ADTA)の現状報告がされた。3つのプログラムが同時進行しているため受講者はやや少なかっ
たが、参加者の自己紹介や感想交換もあり、なごやかな中にも鋭い視点の飛び交った緊張のあるセッションであった。私自身は直接ダンスセラピストとして日頃
やっているわけではないけれど、世界をリードするアメリカのダンスセラピー(以下DT)が今どういう状況か、どういう問題をかかえているのかなどを興味深
く聞けるばかりか、日本のDTの位置や状況をも客観的に知ることができるのでこの講座は毎年大切に受け止めている。
今年のテーマは、昨年報告された全米カウンセリング連盟(NBCC)とADTAとの資格認定の裏にある現実に焦点を当てた、ダンスセラピストとしての倫理問題についてであった。報告は資料にもあるが、おおよそ次のようなものであった。
1.アメリカ・イギリスの資格者養成システム、認められている社会的活動範囲、登録人数についての報告。
2.倫理規定について
今回は米英で実際に正式ルートによりDTRを取得した神宮京子さんと梶明子さんにより、教育プログラムの中でどのように倫理意識が育成されていくのか、
セラピー終結後の関係を例に米英の扱いの場合を具体的に報告された。倫理の守秘義務など当然と思われるものからずいぶん厳しいと思われるものまでいろいろ
あるが、それはクライエント保護と同時にセラピストの保護のためでもあるという印象が残った。
倫理規定は法的拘束力はなく結局は本人の倫理意識に頼る現状で、過去に報告されている実際にあった協会の警告(活動停止を指導する)は一例だけだそう
だ。これらの規定が1969年にADTA理事会にて初めて承認されて以来、30年間に9回の追加や手直しがなされてきているということは、やはり何らかの
問題が起こり必要あっての改定だったのだろうとの報告であった。メチャクチャの横行を防ぐため、資格制度の未成熟な日本においても今後の問題として認識せ
ざるを得ない問題なのだと思った。
3.質疑応答
(1)米英ではDTは心理療法である概念が強い。今ここにきている人の意識はいかがか?
アメリカでは診療報酬を得るためには臨床心理士の博士号取得が前提になるという社会的状況がある。イギリスでは近いうちにDTを心理職として国家資格に
レベルアップしたい国の意向がある。日本の大学心理学科では実技は少なく、日本でDTを学ぶ時、ダンスなのかセラピーなのかどうつなげていくかは今は自分
で考えるしかない状況にある。経験の中から心身の開放や心に響くものを体験している人も多いだろう。心理の方から感ずる人もいるだろう。(神宮・梶・崎
山)
(2)日本DT協会が今のところ、DTの定義づけをしない理由は何か?
日本では、DTと呼ぶ以前からセラピー的効果に注目してさまざまな実践を積み重ねてきた人たちがおり、その人たちのの幅を狭めないためにも定義づけは難
しい。また、世界のDTの中では、日本のそれは比較的独自性と多様性もった国と言える。そのため、一概に定義づけすることは難しい。(町田)
(3)日本DT協会はADTAのブランチか?
例えば日本精神分析学会は世界組織の支部で、外国から厳しさを求めてくるプレッシャーがある。DTではどうか?(尾牛)
No. 日本のJADTA
は米国のADTAの支部ではない。世界の情報収集のためにはアメリカが手っ取り早い。そこで求められているのは各国の実情に合ったDTであり、日本はその
独自性をもった国である。それを大切にしながら研究を進めていけばよいのではないかと考える。(町田)
当協会では現在資格認定のための具体的検討がなされ、あと少しで協会認定セラピスト第一号が誕生しそうなところまでこぎつけている。日本の実情に応じた
DTがよりよい方向に前進していくためにも、実践報告などの情報交換や医学、心理、福祉などの関連分野から見た研究もますます必要になってくるのではない
かと思われた。(清水美和子)
『音楽療法におけるダンスセラピーの活用』
音楽療法のセッションをダンスセラピーの視点から見たら何が見えるかという意図で、40人弱の参加者で行われた。演者のドイツでの経験の紹介の後、体をぱたぱた叩く等のウォーミングアップが行われた。
中盤ではトーンチャイム(シロホンの鍵盤をばらして一個ずつにバチをつけたような、振るとぽーーんんん…という澄んだ音が一つ出る楽器)を5〜6人が持
ち、それぞれ違う音程を鳴らしながらゆっくり空間を歩きまわった。しばらくして次のグループに交替するというのを3回くらい繰り返した。周囲の参加者か
ら、「星くずに囲まれているようだ」とか、螢のイメージが出された。
終盤では、富山民謡の「こきりこ」を、地元の参加者から歌詞とその意味・由来を教えてもらい、全員で歌った。踊る者もあった。
トーンチャイムを初めて見る人も多く、また地元の民謡を取り上げるなどローカリティを生かした結果、参加者の集中力が最後まで維持されたセッションだっ
た。本来ならイメージが出されたところで、または踊りが出たところでそれを膨らましていくのだろうが、今回は時間の関係か紹介にとどまった。(星野
仁)
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